38歳の女性。かかりつけ歯科医のエックス線検査で下顎右側犬歯部の異常を指摘され、精査を勧められ来院した。3┐に打診痛と動揺はなく、歯肉に炎症所見はない。歯髄電気診で生活反応を示した。初診時の口内法エックス線画像(別冊No.10A)、パノラマエックス線画像(別冊No.10B)、歯科用コーンビームCT(別冊No.10C)及び摘出物のH-E染色病理組織像(別冊No.10D)を別に示す。
診断名はどれか。1つ選べ。
1→線維性異形成症は初期には病変と周囲骨との境界は不明瞭で、囊胞状陰影がみられ、硬組織形成が進むとともにすりガラス状の陰影を呈する。所見が異なる。
2→セメント芽細胞腫はセメント芽細胞に由来し、セメント質様硬組織の腫瘍性増殖からなる病変である。歯根に連続した類球形のセメント質塊がみられる。所見が異なる。
3→腺腫様歯原性腫瘍は歯原性上皮に由来し、腺管構造を伴う歯原性腫瘍である。病理組織像では腫瘍実質に腺管様構造や花冠状構造がみられる。所見が異なる。
4→石灰化上皮性歯原性腫瘍はアミロイド様物質の産生およびその石灰化が特徴的な歯原性腫瘍で、 Pindborg腫瘍とも呼ばれる。所見が異なる。
5→セメント質骨形成線維腫はエックス線所見で周囲に一層の透過帯を認める。病理所見では細胞成分に富む線維性結合組織内に硬組織を認める。所見が一致する。